ケミカル
リサイクルとは?

ケミカルリサイクルとは?4つの手法とマテリアルリサイクルとの違いをわかりやすく解説

プラスチックを化学原料に戻すケミカルリサイクルのイメージ

プラスチックごみの削減やカーボンニュートラルへの対応が企業に強く求められるいま、使用済みプラスチックを「化学の力」で資源に戻すケミカルリサイクルが注目を集めています。

しかし、「マテリアルリサイクルと何が違うのか」「どんな廃プラスチックが対象になるのか」「どんな手法があるのか」を正確に理解している方は多くありません。

まず結論|押さえるべき3つのポイント

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    ケミカルリサイクルは、廃プラスチックを化学的に分解して原料に戻すリサイクル手法(品質劣化なく再生できる)

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    混合プラスチック・複合素材・汚れの付いたプラスチックなど、マテリアルリサイクルでは難しいものこそケミカルリサイクルの得意分野

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    現在焼却・埋立処理している廃プラスチックも、再資源化に切り替えられる可能性がある(受け入れ可否は処理事業者への相談で確認できる)

この記事では、廃プラスチックのケミカルリサイクルを手がける日鉄リサイクル(日鉄グループの廃プラスチック処理事業者)の視点から、ケミカルリサイクルの定義、代表的な4つの手法、メリット・課題、そして廃プラスチックが再び製品へ生まれ変わる流れまで、わかりやすく解説します。

ケミカルリサイクルとは?

ケミカルリサイクルとは、使用済みプラスチック(廃プラスチック)を化学的に分解し、油・ガス・化学原料などに戻してから再利用するリサイクル手法です。「化学的再生法」とも呼ばれます。

プラスチックのリサイクルは、大きく次の3種類に分類されます。

種類概要再生されるもの
マテリアルリサイクル 粉砕・洗浄・造粒などの工程を経て、プラスチックのまま再利用できる形に加工する パレット、再生樹脂製品など
ケミカルリサイクル 化学的に分解し、化学原料・油・ガスなどに戻して再利用する 化学原料、炭化水素油、コークス、ガスなど
サーマルリサイクル 焼却時の熱をエネルギーとして回収する 電力・熱エネルギー

マテリアルリサイクルは、ポリプロピレン(PP)やポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)などの単一素材を、粉砕・洗浄して再び製品に加工する方法です。工程がシンプルな一方、汚れの付着した廃棄物や異なる樹脂が混在したプラスチックには不向きで、再生を繰り返すと品質が低下しやすいという特性があります。

これに対して日鉄リサイクルが採用するケミカルリサイクルは、プラスチックを分子・原料のレベルまで分解するため、バージン材(新品の原料)と同等の品質に戻せることが大きな特徴です。なお、サーマルリサイクル(熱回収)は焼却時の熱をエネルギーとして利用する方法で、プラスチックを製品の原料に戻すものではありません。EUやISOなどの国際基準では「リサイクル」には含まれず、日本の法体系でも再資源化(マテリアルリサイクル・ケミカルリサイクル)とは区別され、再資源化が難しい場合の補完的な位置づけとされています。

ケミカルリサイクルのイメージ

ケミカルリサイクルが注目される背景

日鉄リサイクルが採用するケミカルリサイクルが注目される背景には、次のような社会的な変化があります。

  • プラスチック資源循環促進法(プラ新法)の施行:2022年に施行され、排出事業者にはプラスチック使用製品産業廃棄物の排出抑制と再資源化への取り組みが求められるようになりました。
  • リサイクル率の国際的な課題:日本の廃プラスチック処理はサーマルリサイクル(熱回収)が大半を占めますが、前述のとおり海外では熱回収はリサイクルにカウントされないため、実質的なリサイクル率の向上が課題とされています。
  • カーボンニュートラルへの対応:焼却によるCO2排出を抑制し、化石資源(ナフサなど)の使用量を削減する手段として、ケミカルリサイクルへの期待が高まっています。
  • リサイクル困難なプラスチックの存在:現状では、本来ケミカルリサイクルが可能な産業廃棄物系の廃プラスチックの多くが、固形燃料化・焼却・埋立に回っているのが実態です。

ケミカルリサイクルの代表的な4つの手法

ケミカルリサイクルには、主に「コークス炉化学原料化法」「高炉原料化」「ガス化」「油化」の4つの手法があります。マテリアルリサイクルと比較しながら、それぞれの基本プロセスと特徴を整理します。

手法 基本プロセス 対象となる
廃プラ
製造されるもの
(フィルム系プラの例)
マテリアル
リサイクル
粉砕、洗浄、造粒などの工程を経て再利用できる形に加工 単一素材
(PP/PE/PS等)
パレット等
コークス炉
化学原料化法
コークス炉内でプラスチックを加熱し、燃焼させずに熱分解させることで、炭化水素油・コークス・コークス炉ガスを生成 混合プラ/複合素材プラ等 BTX(ベンゼン・トルエン・キシレン)/ガス/コークス
高炉原料化 製鉄所で鉄鉱石を還元して銑鉄を製造する高炉工程にて、廃プラスチックを還元剤として活用 混合プラ/複合素材プラ等 銑鉄
ガス化 低温ガス化炉で廃プラスチックを一酸化炭素・水素・炭化水素・チャー(炭化固形物)などに分解し、その後高温ガス化炉で蒸気と反応させる 混合プラ/複合素材プラ等 ガス(CO、H2)
油化 プラスチック廃棄物を無酸素状態で加熱し、生成油(炭化水素油)を製造 単一素材
(PP/PE/PS)が中心
軽質油・中質油・重油等

コークス炉化学原料化法

使用済みプラスチックを石炭とともにコークス炉に投入し、無酸素状態で加熱・熱分解する手法です。燃焼させずに炭化させることで、化学原料となる炭化水素油、製鉄に使われるコークス、発電などに利用されるコークス炉ガスが生成され、処理したプラスチックのほぼ全量を資源やエネルギーとして再利用できます。日鉄リサイクルでは、日本製鉄の既存の製鉄所のコークス炉を活用するため、新たに大規模な熱分解設備を建設する必要がない点も特徴です。

高炉原料化

製鉄所の高炉工程で、鉄鉱石から酸素を取り除いて銑鉄を製造する際の還元剤として廃プラスチックを活用する手法です。天然資源である原料炭(コークス)の使用量を削減できます。

ガス化

廃プラスチックを低温ガス化炉で一酸化炭素・水素・炭化水素・チャーなどに分解し、高温ガス化炉で蒸気と反応させて合成ガス(CO、H2)に変換する手法です。得られたガスは、アンモニアやメタノールなどの化学工業原料として利用されます。

油化

プラスチック廃棄物を無酸素状態で加熱し、軽質油・中質油・重油などの生成油(炭化水素油)を製造する技術です。品質要求の高い用途への再利用が期待される一方、対象はPP・PE・PSなどの単一素材が中心となります。

ケミカルリサイクルのメリット

混合プラスチック・複合素材も再資源化できる

プラスチックは一種類ではありません。私たちの身の回りには、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)だけでなく、ポリスチレン(PS)、PET、複合フィルム、異なる樹脂が混在した製品など、多種多様なプラスチックが存在しています。こうした廃プラスチックを資源として循環させるにはそれぞれの特性に応じた処理が必要になるため、リサイクルできる対象が限定され、結果として焼却や埋立に回らざるを得ないことが、資源循環における大きな課題となっています。

しかも使用済みプラスチックは、実際には「きれいな単一樹脂」ばかりではありません。

  • 異なる樹脂が混在した包装材
  • ラベルや印刷が付いた容器
  • 内容物由来の汚れが残るプラスチック
  • 複数素材を組み合わせた複合包装材(アルミ×プラなど)

こうした廃プラスチックは、樹脂ごとの分別や高い品質管理が求められるマテリアルリサイクルでは利用が難しく、焼却処理されるケースも少なくありません。ケミカルリサイクル、とりわけ日鉄リサイクルが採用するコークス炉化学原料化法は、このような多様なプラスチックを資源として活用できる数少ない大規模リサイクル技術のひとつです。

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バージン材と同等の品質に戻せる

化学原料のレベルまで分解してから再生するため、マテリアルリサイクルのような品質劣化が起こらず、新品同等の製品づくりに利用できます。食品向けや自動車向けなど、品質要求の高い用途への再利用も可能です。

焼却・埋立を減らし、環境負荷を低減できる

これまで焼却や埋立に回っていた廃棄物を資源に転換することで、CO2排出の抑制と化石資源使用量の削減に貢献します。循環型社会・サーキュラーエコノミーの実現に向けた中核技術といえます。

ケミカルリサイクルのデメリット・課題

一方で、ケミカルリサイクルには次のような課題もあります。

  • 設備コストが高い:廃プラスチックを化学原料へ戻すためには、新たな設備や多くのエネルギーが必要となるケースがあります。
  • 処理できる施設が限られる:大規模な処理インフラが必要なため、対応できる事業者・施設は国内でも限られています。
  • エネルギー消費:熱分解などの工程で相応のエネルギーを消費します。

この課題に対する一つの答えが、既存インフラの活用です。日鉄リサイクルではコークス炉化学原料化法により、日本製鉄の製鉄所で長年利用されているコークス炉をそのまま活用するため、新たに専用プラントを建設することなく、効率的な資源循環を実現できます。

「自社の廃プラスチックがケミカルリサイクルの対象になるか知りたい」という段階のご相談も可能です。

廃プラスチックは、こうして再び製品に生まれ変わる

私たちの身の回りのプラスチック製品の多くは、原油から製造されたナフサを原料として生産されています。ナフサからプラスチック原料となるBTX(ベンゼン・トルエン・キシレン)を製造するには、蒸留、ナフサ分解、芳香族抽出など複数の化学プロセスと大規模な石油化学設備が必要です。

ケミカルリサイクル(コークス炉化学原料化法)で回収された炭化水素油は、このBTXをはじめとする化学原料の供給源となり、次のような製品の原料として循環します。

原料 コークス炉回収物 中間製品 最終製品用途
使用済み
プラスチック
粗軽油
(ベンゼン)
(トルエン)
(キシレン)
スチレンモノマー ポリスチレン 食品包装容器
(白色トレイ・乳製品容器など)
模型・ホビー製品
ABS 自動車部品
家電製品
玩具・ホビー製品
トルエン PET 食品包装容器
コールタール ブラックオイル カーボンブラック タイヤ
軟ピッチ
SOP = Soft Oil Pitch
ピッチ系
炭素繊維
CFRP成形品(ラケット・自動車・航空機部材など)
ピッチ
コークス
電炉用電極
LIB負極材
日鉄ケミカル&マテリアル

さらに、コークス炉で回収されるタールは、カーボンブラックやピッチコークスの原料として利用され、タイヤ・電池材料・カーボン繊維・炭素材料などの高機能材料の製造へとつながります。

廃プラスチックに含まれる炭素を単に燃焼させるのではなく、高付加価値な素材として社会へ戻せること。これがケミカルリサイクルの大きな価値です。

日鉄リサイクルのコークス炉化学原料化法

日鉄グループの実施するコークス炉化学原料化法は、使用済みプラスチックや産業廃棄物由来のプラスチックを、コークス・炭化水素油・ガスへと転換し、再び化学産業や製造業で活用される原料へ循環させるケミカルリサイクル技術です。

製鉄プロセスで培われた前処理・選別技術とコークス炉の高温処理技術を組み合わせることで、単一素材だけでなく、混合プラスチックや複合材料を含む幅広いプラスチック資源の活用に取り組んでいます。これまでリサイクルが難しかったプラスチックにも、資源循環の可能性を広げています。

こんな廃プラスチックはご相談ください

  • 複数の樹脂が混ざっていて、分別できずに焼却処理している
  • アルミ蒸着フィルムなどの複合素材で、リサイクル事業者に受け入れを断られた
  • 内容物の汚れが落ちず、マテリアルリサイクルに出せない
  • プラ新法への対応で、廃プラスチックの再資源化率を上げたい

ひとつでも当てはまる場合は、ケミカルリサイクルで再資源化できる可能性があります。廃棄物の種類・性状・排出量をお伺いし、受け入れ可否と処理の流れをご案内します。

まとめ:リサイクル困難な廃プラスチックこそ、日鉄リサイクルのケミカルリサイクルへ

ケミカルリサイクルは、使用済みプラスチックを化学的に分解して原料に戻す再資源化手法であり、マテリアルリサイクルでは対応が難しい混合プラスチック・複合素材・汚れの付いた廃棄物までを資源循環につなげられる技術です。

「自社から排出される廃プラスチックがリサイクルできるかわからない」「焼却処理している廃プラを再資源化したい」とお考えの排出事業者さまは、ぜひ一度ご相談ください。受け入れ可能なプラスチックの種類や処理の流れについて、担当者がご案内します。

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※本記事の情報は2026年7月時点のものです。